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最低な人とその妻の話し

2010年7月 1日 つじ | | コメント(0) | トラックバック(0)

とある一組の夫婦がいる。

ふたりには、かつて自分の命同等の娘がいた。
4本足の美人娘。
臆病で優しくて我慢強い、自己主張が下手くそな子。

悪性リンパ腫という治らない病気にかかって、平均寿命の半分も生きずに逝ってしまった。
あれから7年。

お骨はいまでもリビングにある。
ことあるごとに話題にあがり、お骨に話しかけている。
誕生日と命日には、お菓子と花を添えている。

最低な人の夢には、よく娘が登場する。
しかし、いつも去っていってしまう夢だ。

川辺を散歩中、不意に水へ飛び込んだと思ったら、そのまま犬かきもせずに固まって沈んでいってしまったり。

妻は何年も病院に通っている。
先月、具合は改善し、医者からは最後のチャンスと言われた。
実績のある病院を紹介してもらった。
回数を決めて頑張ってみなさいと。
それでダメなら、それが運命とあきらめなさいと。

最低な人とその妻はやってみることにした。
これから、しばらくそれが続く。
気張らずに、流れに任せて。

それでダメなら、新しい娘を迎えようと話した。
今は多忙で無理だけど、リタイアしたらあの娘のような美人を迎えよう。
今度はもっと自己主張させてあげよう。
内気で優しくても、強いときは強い子にしよう。

ひょっとしたら、ルナがその子に宿って会いに来ることもあるかもしれない。

これが、
『動物に逃げてる』最低な人と、
その妻の話しだ。

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